「天国」

今月は「天国」についてお話しましょう。大昔の古墳や埋葬跡などを見ると分かるように我々の先祖はいろいろな方法で天国に到達しようとしています。エジプトのピラミッドの階段は逝去したファラオ(王)が天国に登れるようにとのデザインですし、金器、家具、矢羽、食品やハーブに至るまでの埋蔵品の数々は全て亡くなった王が来世で必要になる品々でした。古代ギリシャではスタイクス河を渡り地下のあの世に到達するために乗っていくフェリーを守るチャロンと言う主へ支払うコインを死者とともに埋めるのは当たり前ですし、ヘイズ(あの世の門)を守る3頭の獰猛な犬セルベウスに食べさせる蜂蜜入りケーキも埋めたりします。ハリーポッターではこの考え方がストーリーに入れ込まれていますね。さらにヨーロッパでは死者が天国に到達する前に歩く茨まじりの険しい道ウィニミュアを安全に歩けるように頑丈なブーツを一緒に埋葬しています。

 

古代ローマ人が死後に行かれると信じていた比べ物の無い美しい場所エリシアム・フィールドは怪人クロノスに守られアーサー王が眠っているとされるアバロン半島にあると信じられていましたし、ユダヤ教、キリスト教、イスラムで共通に語られるエデンの園のお話はご存知のとおり。不思議なことにこうした圧倒的な天国思考の中で、アッシリアとバビロニアの人々の祖先は来世と天国の存在を信じていなかったと記録されています。身近なところでカトリック教の考え方で言うと、天国とは神の住まわれる居所とされていて、鋭い高い塔に囲まれた教会等は出来るだけ天国に近づきたいと言うシンボルとして建立されます。カンタベリーやチャルトレスなどの北西ヨーロッパでは、ゴシックスタイルの教会の東側(陽が昇る側=天国側)にキリスト昇天の御絵を飾るのが普通で、オルター(祈りの椅子が並ぶ通路)とは、天国に到達する通路と言う意味を込められた言葉で、現在の言葉オルターレーション=作り変え=天国に行く心の準備=罪を改めて進む=につながっています。

 

クリスチャンの基本の考えで信じられている2000年以上前に生きていたキリストは神の子と信じられていますが、そのキリストは自分を信じるものは必ず天国に到達すると教え、それと同時に神が望むように生きること・・つまり、正しいことをするもの、他人に親切で自分が扱われたいように他人に接する人々には、地球上にも天国が存在すると教えました。そして正しい行いをしなかった人々は死後煉獄と言う試練の炎が燃える場所に送られると言うことも付け加えました。ユダヤ教では天国と言う考えは信じられているものの、地球上でいかに正しく清く生きるかの方に重きが置かれていて、死後いったん分離された魂と体は「新生地球」と呼ばれる場所で合体し昇天していくのですがそれには数々のテストと段階があるようです。仏教では輪廻転生とカルマの世界が真実の追究の後に待っているとされ、神道では天国は地球のはるか上の遠い所に存在し、禅仏教では天国は死後恐れることなく進んでいかれる今世の続きとされています。ヒンズー教では世界は地球、空、そしてその上に段階を経て到達する天国と言う3つにわけられているようです。そして・・・全部の宗教や考え方に共通するのは、世にも美しい音、匂い、景色の場所が天国とされ、良い行いをして、あるいは悔い改めて死後そのような世界に到達できることをひたすら祈りたくなりますね!

クリスタル

 

占い暦40年以上、

オーストラリア・シドニー在住の日本人カウンセラー

 

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