「言霊(ことだま)②」

今月は「言霊=ことだま」の続き②です。かつて言霊を研究する人は「言霊学」として古文書などから真の言霊の知識を得ようと努力して来ました。「言霊学」そのものは江戸の中期ごろから盛んになりました。つまるところ、「言葉が秘める神秘性」を追及する学問であるとともに、「呪術性」の面も大きく注目されるようになっていきます。言霊の呪術を習得できれば、人々の種々の悩み、病気等の改善、回復、神霊までも意のままに操る事が出来るとされ、それが純粋な目的である「呪術」に言霊学に携わる人々は想いを馳せたのでした。

 

「トホカミエミタメ」の8言は、「五元の神」を拝し、ト=水、ホ=火、カミ=木、エミ=金、タメ=土として、それぞれの働きを称えました。「トホカミエミタメ」で8音ですが、ト・ホ・カミ・エミ・タメ」との5音とし「大祝詞」の長い祝詞との秘詞に匹敵するとされました。

「アマテラスオオミカミ」これは言うまでもなく「天照大神」の神名そのもの、何百何千回も奉唱すれば、神徳を授かるとともに、無量の神秘を会得する事が出来るとされてきました。このほか、「たふみよ いむなや こともちろらね しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか うおゑにさりへて のます あせえほれけ」と言う神歌は、天照大神が天の岩戸にお隠れになったとき、「女命」が岩戸の前で楽しげに神舞を舞いながら歌われた歌で「清音」で歌われるように構成されてあり、「神霊をなぐさめ、よろずの災いをして幸いに返さずということなし」と言われる物で、宇宙創造の原理が要約されたものとの解釈もあります。

 

「ひふみよいむなやここのたり ふるべ ゆらゆらとふるべ」は物部氏の祖神「ニギハヤヒノミコト」が降臨する際に「タカミムスビノミコト」に授けたと言うのが「布瑠の言」ですが、この言霊には「十種神宝」(とくのかんだから)を意味するものが含まれ、言霊の中で神宝を使うことで、霊的な秘技を確立したとあり、「旧事本記」では「死者が蘇る」力があると記されています。言霊はこういった秘技のほかに「占い」にも利用されました。その口から言霊を発し、物事の吉兆を予言する物、あるいは人との対面、面談で相手が発する言霊の霊的部分を察知し、物事の吉兆を占い予言するものや、占いに必要な言霊が記された道具を使って占うものなど、古くから様々な分野で言霊に秘める力を利用していきました。

 

私たちの人生を自然界の営みに置き換えて考えるならば山から海へ流れる川のごとし、よどみにおいては新しい水の循環がなく、何れは腐り、汚臭を放ち、朽ち果ててゆく運命があります。50音の言霊に秘めるものはそういう自然界にある森羅万象の生成過程になくてはならない働きを言霊に込めあらわし示す物です。注意すべきは、言霊の秘め事を使うものはこの世で我々「人間」のみであることを心にとどめ、いつでも正しく言霊を発することを努力すべきであり、良識ある判断と神性を生かした心と体と精神で行うことが何より大事であることが分かってきます。(続く)

クリスタル

 

占い暦40年以上、

オーストラリア・シドニー在住の日本人カウンセラー

 

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